SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。持続可能な開発目標とは、2015年の国連サミットで採択されたもので、国連に加盟する193か国が2016年~2030年の15年間で達成するために掲げた目標。17のグローバル目標と、169のターゲットから構成されています。
現在、さまざまな企業や団体が取り組み、グローバル/ローカル 問わずイノベーションが起こっており、今やSDGs を知らずして経済活動は成り立たない‥という潮流になっています。
当NPOでは、国際自然保護連合日本委員会主催の2017年「にじゅうまるプロジェクトCOP3」へ参加したことを機に、いち早くこのSDGs を取り入れています。
そもそもわたしたちは、これ以前に、環境省が掲げる「生態系サービス」という考え方の中に自然栽培との関連の深さ、トリレンマの解決の糸口を見つけ、活動しようとしていました。このような中で、SDGs の登場は大きな追い風になると判断し、普及活動のツールとしたのです。
「トリレンマ」とは、どれも好ましくない三つのうちから、一つを選ばなければいけない、という三重苦のこと。(よくある言葉に二重苦の「ジレンマ」があります)
ここでいうトリレンマは以下の3つ。グローバルトリレンマと呼ぶこともあります。
・経済の発展
・環境の保全
・資源の枯渇
これら3つは、「同時には成立しない」とされてきました。けれども、世界規模の異常気象と災害、気候変動に影響される経済活動の悪化、資源や食糧の枯渇や不均衡、紛争、予測のつかない感染疾病の登場‥と、世界問題の深刻化は年々増すばかりで、国連が地球の有限性を訴え、SDGs を掲げたのは無理もありません。わたしたちの住む日本国内もその影響は多大であり、課題は山積しています。
生態系サービスとは、生態系によって提供される多くの資源とプロセスから得る利益のこと。生物多様性によって提供される「自然の恵み」には市場で取引される価格がほぼ存在しないため、経済的な価値に置き換えることにより可視化することを目指しています。
生態系サービスは、4つの機能に分類されます。
【供給】食糧、水、燃料等の生産・提供
【文化】教育的・精神的・文化的利益
【調整】気候、洪水、疾病などの制御・調節
【基盤】栄養塩の循環、土壌形成、一次生産
生物多様性を保全し、生態系サービスを将来にわたって受け続けるためには、市民、ビジネス、行政などの主体が、商品の購入、企業活動、政策立案など、ありとあらゆる意思決定の場面に生物多様性や生態系サービスの価値を反映していくことが重要とされます。
自然環境バランスの崩れによる気象災害が頻発する昨今、直接的に影響を受ける農業分野では特に意識したい考え方であり、自然栽培を促進することで、特に赤字部分の受益が期待できると私たちは考えています。(青字部分は間接的)
(当NPOパンフレットより抜粋)
このような経緯から、わたしたちが行ってきた具体的なアクションは以下のとおり。
➢2016年~
・ラムサールネットワーク日本「田んぼの生物多様性向上10年プロジェクト」への参加
➢2017年~
・国際自然保護連合日本委員会「にじゅうまるプロジェクト」への参加
(ポスター発表)
(「All My Relations Action 」プロジェクト )
➢2019年~
・視察団体、学校への事例紹介、レクチャー
・観光プログラムの試作
―いずれも継続中―
当NPOが推進しようとしているSDGs 目標は15。17ある目標のうちのほとんどを網羅しています。
なぜなら、農業生産活動は、食料の安定供給のみならず、国土の保全や水源のかん養機能,生物多様性、文化の継承等、さまざまな領域を横断した多面的機能を持っているからです。
私たちは、効率化を優先するがゆえの肥料・農薬の多投入、単一栽培などの現代農業からの見直しや改善によって、生態系サービスの劣化を食い止め、これら15の目標を、ボトムアップ型によって、広く、同時に達成することを目指しています。
また自然栽培は、農林水産省の掲げる「環境保全型農業」としては現在認められていません。わたしたちは、SDGs の積極的な取り組みを通じて、自然栽培が「環境保全型農業」として認知されることも希望しています。
(当NPOパンフレットより抜粋)