◆なぜ、肥料をやらないのに作物が育つのか?

『硝酸態窒素』(しょうさんたいちっそ)

自然栽培は農薬を使わないこともさることながら、肥料をやらずに栽培することが、他のどの栽培法よりも特徴的です。

では、なぜ肥料をやらないのに作物が育つのでしょうか。

植物を育てるHow to本を手に取ると、必ずといっていいほど、次の言葉が出てきます。

 

●窒素(含まれる元素N)

●リン酸(含まれる元素P)

●カリウム(含まれる元素K)

 

これらは、植物が育つために大切な3大栄養素と言われています。特に、窒素は種が発芽したあと、葉や茎を生長させるのに大切とされています。(葉や茎がなければ、光合成ができませんからね)

 

ところで、植物は、窒素をそのまま栄養素として取り込むことができません。

窒素はまず、ごく限られた微生物(根粒菌や放線菌)の活用によって、アンモニア態窒素という形態になります。でもまだ、これだけでは吸収することができません。

 

さらに、硝化菌という生物によって、硝酸態窒素という形態にされます。硝酸態窒素は、土壌中にある微量金属と結合して、結晶します。 この結晶を 「硝酸塩」といい、結晶が液体に溶けたものを「硝酸イオン」といいます。

 

植物は、「硝酸イオン」になって初めて、 水と一緒に根から吸収することができます。 吸収された「硝酸イオン」は、体内の酵素や光合成の働きによって、生長に必要なアミノ酸やタンパク質に合成されていくわけです。

 


ただし、この硝酸態窒素が高濃度になることが、一部で問題視されています。

植物は硝酸態窒素が過剰に供給されると、それらを消化しなくてはならなくなり、急激に細胞を大きくして、背丈を伸ばしたり葉を大きく茂らせたりします。(=いわゆる徒長) ちょうど、人間がカロリーの高い食事を摂りすぎて太ってしまうのと似ています。 メタボ(メタボリック症候群)みたいなものですね。

 

硝酸態窒素の濃度が高くなったメタボな植物を調べると、草丈の割に軟弱です。さらに、多量に生成されるアミノ酸やタンパク質を狙い、虫が集まりやすく なります。だから、農薬が必要になってくるわけです。

「虫がつくのはそれだけ美味しいから」というのは詭弁で、実は 過剰な肥料分が虫を大量発生しやすくしている一因なのではないか といわれています。実際、自然栽培の作物や圃場にはあまり虫が寄り付きません。自然栽培の圃場では、生態系の範囲内で上手に牽制し合いながら、共生できる分だけの数の虫しかいない、といった様子が見受けられます。

 

硝酸態窒素を多く取り込みすぎたメタボな植物は、病気に弱くなり、早く腐敗しやすくなるといった現象も起こります。冷蔵庫の中で傷んでしまった野菜が、ものすごい異臭を放っているのは、有機物質の腐敗臭ともいえます。

 

この硝酸態窒素について、欧米では、野菜などに硝酸態窒素の残留濃度基準を3000ppm未満と定めていますが、 日本は硝酸態窒素の残留濃度基準を定めていません。

 

ここでお気づきかと思いますが、 自然栽培は、この硝酸態窒素を人為的に供給しない(=無施肥)というわけなのです。

※自然栽培の作物は肥料分が入っていないわけではなく、自然界の循環の中で生長に必要な養分は過不足なく蓄えています。「栽培過程において人為的に肥料分を与えていない」という趣旨が込められていることをお含み置きください。

 

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▼農林水産省のホームページ内でも「野菜等の硝酸塩に関する情報」が作成されています。

 野菜中の硝酸塩に関する情報(click!)