『窒素固定』と『窒素循環』
「施肥しないのであれば、土中の窒素はどこから来てるの?」
…こうした疑問が沸いてきます。
窒素は、大気中に多く存在しています。 容積にして、大気中の約7~8割を占めています。このほかにも、動植物の死骸などの堆積物中、海水中などにも存在しています。植物は、これら自然界に大量にある窒素を使っているのです。
植物がこの窒素をそのまま動植物が利用することは出来ず、「硝酸塩」「硝酸イオン」になってから吸収できる、というのはプロセス1でも説明しました。
大気中の窒素は、いくつかの細菌によって取り込まれます。
窒素を取り込むことを『窒素固定』といいます。窒素固定できる細菌は限られており、「真正細菌」と呼ばれるもので、大腸菌、枯草菌、放線菌、藍藻、シアノバクテリアなどがそれです。これら真正細菌のほかに、古細菌や動植物に共生している細菌もあります。
共生細菌の代表的な例として、マメ科の植物が有名です。クローバーやレンゲ、大豆などマメ科の植物の根には、「根粒菌」と呼ばれる共生細菌がついています。この根粒菌が、窒素を固定しています。「マメを植えると土が肥える」といわれるのは、このためです。マメ科植物のほかには、ソテツやヤマモモなども同様だそうです。また、雷の放電や紫外線により窒素ガスが酸化され、これらが雨水に溶けることで、土壌に固定されることもあります。
土の中ではおそらく、ありとあらゆる生物がある一定の関係性を持ちながら、小宇宙を作っているのでしょう。自然界には生き物が過不足なく生きて行くためのシステムが最初から備わっていたのですね!
というか、そんなシステムが備わっている地球ってすごくありませんか?
ここでご紹介している「自然栽培のプロセス1、2」は、自然栽培のしくみのうちのごく一部に過ぎません。現在、生態学系の専門家・研究者らによる学術的な観察・研究が進められており、私たちはそれらの成果を待ちながら、この活動を行っています。