桜と農耕

皆さま こんにちは。全国各地で桜の開花情報が聞こえてくるようになりましたね。

ここ岡山県倉敷市の桜は、ご覧のとおりまだこれから…といった感じです。

 

タネツケバナが咲き始めたここ数日は、生産者の方たちもそろそろ種籾の準備を

始めている頃でしょうか。ツツジが咲く頃は苗代づくり… いにしえの人々は、花を暦として、お米づくりを進めていたといわれています。

 

特に、桜と農耕には、深いつながりがあるのをご存知でしょうか?

 

「サクラ」…元々、「サ」は田の神様、「クラ」は田の神様の御座する処、とされていました。

 

また、日本の神話には、山の神様の娘に「木花開耶姫(コノハナサクヤヒメ)」という美しい花の神様がいて、この姫神様は、農耕の神様「瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)」と結婚した、というお話もあります。なんだかロマンがありますね。

 

ちなみに、ここでいう「サクラ」は、山に咲く山桜を指します。

 

森の中で小さな植物たちが芽吹き、やがて山の生命力があふれ出し、人里へ舞い降りてくる。それが田へも訪れ、田の神様となって稲穂に宿る…と昔の人々は考えました。人々は桜が咲くと、木の周りに集まって歌い、踊り、山と田の神様をお祝いしたのです。

 

これが「花見」の起源といわれています。

 

いろいろな木に花が咲くのに、桜が咲いたときにだけ「花見」をする日本人の慣習に納得ですね。

ところで、桜の開花予想に使われているソメイヨシノは、江戸末期に、染井村に住む植木職人が作った交配種。

 

ヨシノザクラ(吉野桜)と区別するために、染井を冠して、ソメイヨシノと名づけられました。

 

ソメイヨシノは自家受粉ができず(=子孫を残せない)数十年で枯れてしまう宿命を背負っており、このため、すべて挿し木で殖やしています。

 

挿し木とは、昔からよくある無性生殖法の1つで、

親株から枝を切り取り、土に指して発根させる方法。親の遺伝子を、そっくりそのままコピーしているんです。つまり、国内にあるソメイヨシノは全てクローンなんです。

 

というわけで、全国のソメイヨシノはすべて同一条件なので、気象台や観測所の標本として、開花予想の判断に採用されているんですね。

桜に関するこぼれ話、いかがでしたか?

 

これからお花見に出かける方は、こんなこぼれ話を思い出しながら楽しんでみてください。

 

桜の咲く時季は、花時雨(はなしぐれ)が降り、花疾風(はなはやて)が吹いて寒い日も。どうぞ花冷えなどなさいませんように。