
生産者さん達は、只今田植え前の準備中。
そんな中、実行委員会側でも、いよいよ申請された
圃場の確認巡回が始まりました。
生産者説明会をお聞きになった上で、
当会の定める要領に沿った善良な栽培を行うこと、
収穫されたお米をJAを通じて検査を受け、
きちんと出荷していただくことに同意された方に、
まず「計画申請書」というものを提出いただきます。
この提出をもって、当会の正式な生産者さんとなります。
この台帳は管理する×管理されるという構図の表れではなく、
お米をご購入いただくNPO会員・消費者の皆さまに対する
生産者と実行委員会の責任の証、宣誓書ともいえる
重要なものなのです。

申請された圃場に認証がおりると、ご覧のデザインの看板が配布されます。
この看板のない田んぼでは、農業指導や視察は行われず、収穫米も勿論、
木村式自然栽培米として認証されません。
トレーサビリティ(流通経路を生産段階から最終消費段階まで追跡が可能な状態)は
バッチリなのです♪

今回は、新規生産者さんの圃場を主に回りました。
圃場の周囲の環境、水路や土質、畦や雑草の状態などを確認します。
こうしたデータは台帳へ集められ、県やJA、実行委員会内でシェア
されるだけでなく、(株)木村興農社へも報告されます。
今後、研究関連機関へも要請があれば提出できるよう準備を整えます。
特に水路については、取り込み口や排水口、水量や取水時間の有無
など、詳しく確認。木村式自然栽培では、水の管理が最大のポイントと
いっても過言ではありません。
(このことについては、今後追々話題になってくると
思いますので、今後のレポートをお楽しみに♪)

こちらは2年目の圃場。
非常によく乾いている圃場です。
「どうして乾いているってわかるの?」と
思うでしょう?
木村式では、田植え前まで耕さないので、
自然に草が生えてくるものなのですが、
この圃場には草が見当たらず、
以前の草がすっかり黄色く枯れて、
土の上に散らばっています。
その様子から判断できるのです。

よく乾いている証拠の1つが赤い矢印の部分。
この線は、深~く溝を切った跡です。
こうすると、雨などで溜まった水が早く排水されるというわけ。
ここまでしっかり乾燥されているとなると、耕起の荒さ加減に工夫が
必要かも知れません。それは、生産者さんの宿題ですね^^
木村式でよく言われる「浅く・荒く」というのも、土の状態や日照など
周囲の環境によって加減は様々で、画一的には決められません
ちなみに、どうして斜めに溝を切っているかといいますと、
この後トラクターや田植え機が入ったときに、車の進行方向と平行して
溝があると、車輪が溝にはまって引っかかったり、脱輪したりする恐れが
あるからなんですよ。よく考えられているでしょう?^^

ガラッと変わりまして、こちらは別の圃場。
新規の生産者さんの田んぼなのですが、
木村式に関心をお持ちで、すでに数年前から
それらしい方法を試していたのだそうです。
レンゲが生えています。勝手に生えてきたそうです。
右側だけに偏って生えていますね。
レンゲが生えている部分は、土が高く盛り上がって
いるんですよ。この田んぼは両脇は地が上がっていて、
ブロック塀に囲われているため、両脇が少し湿気がちに
なっているのです。それでレンゲが嫌がって水はけの
良いあの部分に集まっているんです。
レンゲは、根粒菌のおかげで自ら窒素を固定するので、
すでに人為で施された窒素分のある圃場は嫌います。
窒素分が抜け始めると、田んぼがレンゲに
「もう来ていいよ~!」って呼ぶみたいです(笑)
しかも、乾燥と湿り気のバランスが取れていないと
嫌みたいで、レンゲって結構デリケートなんですね。
このように、何をもって「自然栽培」と判断するのかというと、
自然がそのまま、正直に教えてくれているというわけなんです。
そして、自然が教えてくれている状態を見て、自分がどう判断するか?
ここが肝になってきます。
ですから、他所の圃場で「○○が何センチ△△している」とか「◆◆が□□℃だった」とか、
ほかの人のしている数値ばかりを気にしているのは、ナンセンスなことなんです。
自分の圃場は、自分自身の頭と心でよーく考えなくてはいけない。自立が求められます。
しかし、そこへ薬や肥料を使ってしまうと、何も考えなくても解決できちゃうのです。
問題がなかったかのように、ごまかせるんですね。
一度この「楽」を覚えてしまうと、益々考えなくなってしまう。これは大変怖いことです。
自然界からのストレートなメッセージが歪んで見えなくなり、上辺だけを見てしまうのです。
見えなくなってしまったことにすら気づけなくなるほど、鈍感になっていませんか?(ドキッ☆)
最近では、自然栽培まがいのものも出回っているようですが、
人間のしたことはすべて、圃場に正直に反映されて出てきています。嘘はつけませんよ~!
「子は親の鏡」ならず、「圃場は生産者の鏡」ってわけですね(笑)
(巡回レポートはこの後も続きます)