圃場の巡回レポート、その後も続きます!といっておきながら、
ほかにも皆さんにお伝えしたいニュースが立て続けに起きているあいだに
すでに季節は田植えシーズンとなっておりました!
田んぼに水が入ってしまう前に、大急ぎで続編をレポートいたします。
お待たせしていた皆さま、ごめんなさい!(大慌て・汗)

県内の圃場は、さまざまな場所に点在しています。
車の入らない細い道の先にあることもあり、
こんな細い路地をてくてく歩いていったりもします。
広い田舎とはまた違った、町中の田んぼです。
田んぼばかりだった所へ、家が建ち、アパートや商店が建ち、
広い道路が通り、田舎が町へと姿を変えていく・・・
町中の田んぼは、そうした田舎の名残ともいえます。
町のど真ん中で、先祖代々からの田畑を守り続けるということは、
体力的にも、経済的にも、大変エネルギーのいることなんです。
農家の方たちの“想い”に敬意を払いたいですね。

こちらは別の圃場。
登録されている生産者さんご本人は不在で、
(巡回は、兼業の方もいらっしゃるので
基本的に事前連絡はせず、お留守におじゃましています)
偶然、お母様がいらっしゃいました。
JA担当者さんの顔を見た途端、
「もしかして、○○さんの息子さん?」とお尋ねのお母様。
「ハイ、そうです^^」と答えるJAさん。
「まぁまぁ!いつもお世話になって~。
息子がまた、訳のわからないことを始めちゃってぇ」
とおっしゃるお母様(^^;
お父様亡き後、息子さんが木村式自然栽培に転換したいと
ご家族を説得され、一枚の田んぼを圃場申請してくださり、
当会へ入られました。なので、お母様としては心配一杯!
田植えのことや、夏には土用干し(中干し)もしないんですよ、というお話をすると
「えーーっ!」「それって、どういうこと!?」と驚かれていて、
そばの畑にあるトマトも「苗を横にして植えるといいんですよ」と言うと、
目を白黒されておいででした(笑)
でも、日頃「食」の安全性にアンテナを張っておられるお母様に、土の中の生態系や
微生物のことなどをお話すると、大変興味を示してくださり、
「息子のやっていることはまだよぅ分からんけど、まぁしっかり見守りますわ~」と
笑顔で私たち一行を見送ってくださいました。
古くからの農家の方々と当会がつながる際にも、祖父母の代、親の代からずっと長い
お付き合いが続いているJAさんがいてくださるからこそ、こんなふうに助けられています。
後継者世代である30~50歳代の方たちが、親の守ってきた田畑を継承するにあたり、
自然栽培がそのきっかけとなるケースが増えていることにも、注目していただきたいと思います。

こちらはまた別の圃場。生産者さんが作業中でした。
新規の方ですが、JA組合員の役員までされていたという、
筋金入りの生産者さんです。
「どうして自然栽培をしようと思われたのですか?」
と必ずニコはお尋ねしているのですが、
「どうせやるなら、自然にいいことをしたいし、
普通のことをやったって、おもしろーねぇからな!」
ニヤリと笑ってお答えくださいました。
「それにJAの人に、木村式でやろうと思うって言うたら、
気の短けぇあんたにゃ、ムリじゃ、ムリじゃ!いうて
言われたけぇ、ほんなら絶対ぇやってやろうじゃねーか!
って思うたんよ」とも^^
畦もきちんと整えられて、苗の生育状況も順調とのこと。
新規の方とはいえ、こちらも楽しみな生産者さんです♪


おお!こちらは草丈がものすごいことになっている圃場ですねぇ!
山田さん曰く「よくぞここまで、辛抱して草を伸ばしたなぁ」とのこと。
草の下の根っこには、きっとこの圃場の植物相に順応できる微生物が集まり、
この圃場ならではの土の生態系が作られつつあるのだと思います。
こちらに生えている草の中でも、右の画像の、一際草丈のある草は、
イタリアンライグラス(ネズミムギ)と呼ばれているもので、
牧草として欧米の温帯地区で育った草で、日本へ伝わった帰化植物です。
おそらく、こちらの圃場が木村式になる以前は、
外国由来の資材が使われていたのでは?と思われます。
このまま自然に放っておけば、年を重ねるごとに土壌が変化し、草の相も変わっていきます。
その場所へ着地した微生物は、そのままその場へ棲みついたり、役目を終えて別の微生物に
譲ったり、生態系が落ち着くまで移り変わっていきます。
微生物と共存関係にある草も、微生物の移り変わりによって様変わりしていくという訳です。
木村さんの畑では、「7回変わった」と著書に書かれています。
********
このほかにもいろいろな圃場があり、その一つ一つの圃場に、これからお米が育つまでの
ストーリーが展開されます。これからいよいよ田植え!
田んぼに水が入り、空を映す水鏡がそこかしこに広がる光景が楽しみな季節。
貴方の家の近くでも、カエルの合唱が聞こえてきましたか?
皆さんもどうぞ、美しい田園風景にしばし足を止めて、圃場で繰り広げられるドラマに
思いをめぐらせてみてくださいね!