
皆さま こんにちは。
昨日、当会公式Facebook でも投稿したのですが、Facebook が見られない方のために
こちらのBlogへも同様の内容をエントリーいたします。
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映画『奇跡のリンゴ』が公開されて、1週間が経とうとしています。
木村さんの偉業と家族愛の感動が多くの方の心に届き、自然栽培の素晴らしさや可能性が
より多くの方に知られるきっかけとなったことを、大変嬉しく思っています。
一方で、肥料・農薬を使う慣行栽培や有機栽培に厳しい視線を向ける人が増えることを、
当会は良しとしていません。
当会は自然栽培を広めることを目的とした団体ですが、
これまで私たちの食生活を支えてきてくれ、
今も支え続けてくれている、慣行栽培や有機栽培にも敬意を忘れてはいません。
肥料や農薬を使用した栽培農家さんの中にも、しっかりと安全性のあるものを選び、
使用量、使用日数を守り、消費者のために、安定した作物を 安定して供給しようと、
まじめに取り組んでくださっている方はたくさんいらっしゃいます。
そして、こうした生産者の陰には、少しでも安全な肥料や農薬を提供しようと
開発してきた製造会社さんのたゆまぬ努力と研究もあったことでしょう。

日本が戦中・戦後の貧しい食糧難から這い上がり、
今のようにいつでも何でも食べられるようになるまでには、
こうした人々の苦労があったことを、
私たちは決してないがしろにしてはいけないと思います。

自然栽培は、まだ実践している人が少ないため、
どのような違いがあるのかを知るために、どうしても
これまでの栽培法と比較する手段を選んでしまいがちです。
こうした二元的な比較をすると つい、
「こちらは良くて、あちらは悪い」
という見方になりがちです。
これはとても危険な見方だと思います。
また、比較された側にとっても、つい相手を敵視し、
論破してしまいたくなることでしょう。
こうなると、ただの不毛な戦いとなり、
そもそも人々の「食」を豊かにしたいという
共通の思いを持つ者同士だったはずなのに、
傷つけ合うことになるのは悲しいことであり、
建設的ではありません。

あくまでも、双方の違いを知り、
それぞれの特徴を知ることに焦点を置いて、
物を見る姿勢が大切だと
私たちは自分に言い聞かせるべきでしょう。
一番怖いのは、うわべだけを見て盲目的になること。
そして、原点を忘れて偏重し過ぎていくこと。
これは、慣行でも、有機でも、そして自然栽培でも、
どんな栽培方法であっても同じです。
木村さんは常々
「私にも間違っているところがあるかも知れない。
だからこそ、より多くの人にも試してもらい、
実践してもらい、自然栽培がどういうものなのか、
一緒に考えて欲しい」とおっしゃっています。
当会はそのためにも、自然栽培の啓発・普及を進めています。
非常にありがたいことに、こうした姿勢を汲み取ってくださっているのが、ほかならぬ、
農薬・肥料を売る立場でもある、岡山のJAです。
「自然栽培だけを支援するわけではない。ほかの栽培と同様に、
JA組合員さんがやりたいというのなら、それを公平に支援するのがJAの務めです」
当会と協働してくださっている全農やJAの担当者さん達は、皆そう話していらっしゃいます。
国や農政が変えてくれるのではありません。私たち一人一人が変えていくのです。
皆さまと一緒に、これからの「農」と「食」について考えたい。一人一人に考えて欲しい。
当会がお送りするお米には、そんな願いが込められています。