「自然栽培を科学する」レポート(1)

開始早々、熱気がスゴイ!
開始早々、熱気がスゴイ!

会場準備のために事務所を後にするギリギリまで問合わせ電話が鳴り続けた8月4日。

木村秋則×杉山修一『自然栽培を科学する』シンポジウムは無事、盛会に終えることができました。

 

当会の設立時からの目的の一つは、自然栽培を日本全国に広げること。

――できるだけ速く、できるだけ多くの人に、自然栽培がこれからの世の中に必要であることを知らせたい。もう時間はそんなに残されていないかも知れない。木村さんのその “ 想い” を当会も共有しています。そのために何をすればよいか?

 

地域の一人一人との対話を進めていく一方で、私たちは県やJAとの連携を模索してきました。

当会単体で収益を上げ、経済基盤を整えればよいとは考えていないのです。

アフリカには、こんな諺もあります。

 “If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.”

(速く行きたいなら、一人で行きなさい。遠くへ行きたいなら、みんなで行きなさい。)

 

模索する中で、個人からも、組織からも、まずは「自然栽培がそんなによいというのならデータを出してくれ」「本当に連携できるものなのか、証明は?」…と必ず言われます。そのたびに、私たちは宿題をもらったなと思ってきました。

 

自然栽培を実践したことのある人、実践している人が身近にいる人なら、実感としてわかっていただけるのですが、自然栽培があまりにも多角的で原理を固定化しにくい分野なために、

「これが答えです」と、机上に明確に提示することが難しいことを自然栽培を知らない人たちにわかってもらうためには、私たちはどのように伝えていけばよいか?いつも悩んでいます。

「自然栽培のよさがわからない人には言っても仕方ないよね」と突き放すことは簡単ですが、私たちは理解し合えることを信じて活動しています。

 

そんなときに出た杉山修一教授の著書

すごい畑のすごい土 無農薬・無肥料・自然栽培の生態学

出版されるという知らせを聞き、発売されるとすぐに本を取り寄せました。

あるスタッフが一晩で一気に読み終えました。

 

「ここに、私たちの求めている答えの大きなヒントがある!」

自然栽培は、やっぱりこれからの世の中に絶対に必要だ!

これは宗教でもなんでもない。現実として、ちゃんと成り立っている。

私たちはやっぱり間違っていなかったんだ!間違っていないんだ・・・! 

これはなんとしても、多くの人にわかっていただきたい。8月に木村さんがいらっしゃることは決まっていました。「理事長!木村さんと一緒に、杉山先生もお招きできないでしょうか?」

高橋も即決でした。すぐに木村興農社と木村さんに打診をし、杉山教授へお願いをし、スケジューリングと会場探しに走りました。

 

1ヶ月足らずで、本当に人を集められるか?参加費3,000円の設定ってどうなの?高いと言われるだろうか?でも、自然栽培を本気で考えている人なら、3,000円の価値をわかってくれるはず。内々では、そんな討論もしました。

日頃、現場で動いているスタッフはたった2人。予算や採算を考える余裕などもありませんでした。時間がない。でもやるしかない。8月4日を迎えるまで、綱渡りの状況下で無我夢中で走り続けました。毎晩日付が変わるまで資料作成や申込み対応をし、連日徹夜をしました。

 

そしてご覧のように、会場には木村さんや杉山教授の話を食い入るように聞く人たちがたくさん集まってくださったのです。県外にいる自然栽培の仲間たちも駆けつけてくれました。映画の主人公になった人でも見てみようかな、なんていう物見遊山な人はいません。どの方も真剣なまなざしでした。

つづく