前回の興陽高校の皆さんのご紹介では、多方面から賞賛の声をたくさんいただきました。
「素直でさわやかで、素晴らしい生徒さんたちだ!」
「自分たちから自然栽培をやりたいと言ったことが本当に素晴らしい!」
「親御さんや先生方はお幸せですね!」などなど。
何だか私たちまで褒められたみたいで、嬉しくなってしまいました^^

興陽高校さんを後にして、圃場視察は続きます。
この日は、木村さんが青森へお帰りになる日だったため、空港へ向かう道程に近い圃場を、JA担当者さんにピックアップしてもらい、視察していただきました。
こちらの田んぼは、JA岡山管内の熊岸さんの圃場です。しっかり育っていますねー!

よく見ると、コナギという水田によくある雑草がビッシリ生えています(>_<)
自然栽培に転換して1~3年くらいは、皆さんこのコナギに泣かされるようです。
コナギは窒素好きなので、イネと窒素を取り合っているのかも知れません。
一方で、何かの植物が育てば、それと共生して栄養を交換しようとする別の植物が現れて植物相を作ろうとしますから、「取り合っている」のではなく、「シェアしている」という見方もできますね。
ここで起きている事象は、イネが生え、コナギが生えているという事実だけですが、これをどうとらえるかは、見る人によって全く違ってくるわけです。
コナギを悪と見るか?善と見るか?あなたはどちら?
(どちらでもないという選択肢もありますね♪)
ちなみに、コナギは古来、食用として食べられていました。
お浸しなどにすると、やわらかくて雑味もなく美味しいそうです。カリウムが大変豊富で、
カリウムは高血圧やむくみによいとされ、夏バテ防止にも一役買っています。
汗と一緒に体からカリウムが一気に失われると、脱力感などを誘い、夏バテしてしまいます。
夏野菜の代表格、キュウリもカリウムが豊富な野菜として知られていますね。
季節にあわせて理にかなった植物=作物=旬の野菜が育つなんて、やっぱり自然の摂理って凄い!

コナギをちぎって、クチクラ層の説明をする木村さん。
クチクラとは、毛髪のキューティクルみたいなものです。
クチクラは、ロウのような物質でできた皮膜で葉を覆っており、外部からの生物や物質の侵入や、紫外線による傷みを防いだり、植物自身の過度な蒸散を抑制したりしています。
自然栽培の作物は、このクチクラ層が発達している場合が多いので、淡い緑色をしており、濃い緑色をしていません。これを茹でたり炒めたりして火を通すことで、鮮やかな緑色が出てきます。(自然栽培野菜を選ぶときのポイントにしてみてくださいね!)

この方が、こちらの田んぼで作付けをしてくださっている熊岸さんです。
熊岸さんは昨年1等米100%という実績を叩き出し、そのお米を惜しげもなく拠出してくださいました。今年は、自然栽培に転換して3年目なので、収量はあまり期待せず、土が変わっていくのを楽しみながらお世話していらっしゃるようです。
私たちが「木村曲線」と呼んでいる、3年目に一旦収量が落ちて、その後V字回復していくという、“3年目の洗礼” の情報をあらかじめご提供できているので、熊岸さんも焦らず、ゆったりとした気持ちで取り組んでくださっているのが、この笑顔からも伝わってきます。
木村さんは初期の頃、自然栽培を呼びかけた人のうち、この3年目の洗礼を受けた方に「俺は木村に騙された!」と言われて悲しい想いをたくさんされたそうです。木村さんもさぞお辛かったと思いますし、「騙された」と思ったまま、自然栽培に不信感を持つこととなった方もお辛かったことでしょう…。
このような悲劇が生まれないためにも、当会でもすべての圃場を一気に自然栽培に転換するのではなく、少しずつ転換されることをお勧めしています。


遠慮がちに遠巻きにご覧になっていた熊岸さんのご家族をお呼びして、記念撮影。
熊岸さんを自然栽培生産者1代目とするならば、木村さんに抱っこされている小さなお孫さんは3代目!?
こちらも未来の農業は明るい!!
こんなふうに、当会にはまだまだ皆さんにご紹介したい生産者さん達がたくさんいらっしゃいます^^
木村さんと杉山教授によると、ここ岡山県は「晴れの国」と呼ばれるだけあり、日照条件がよく、瀬戸内の温暖な気候と相まって、自然栽培にとって絶好の条件が満たされているとのこと。まして、朝日米という自然栽培と好相性の在来種まで揃っていることは素晴らしいこと!と太鼓判を押して頂きました。
杉山教授には「シンポジウムの前に視察をしていたら、話す内容をもっと変えていたかも知れません。岡山がここまで進んでいるとは、本当にびっくりしました。もう出来すぎです!」とのことで、こんなにも褒めていただけて、嬉しいやら恥ずかしくなってくるやら(笑)
田んぼの神様に頂いた環境に甘えることなく、謙虚な気持ちを忘れずに、生産者さん達と取り組みを進めていかなくてはいけませんね。背筋を正していきたいと思います。
木村さんと杉山教授は、この後も数箇所の圃場を視察され、無事 帰途に着かれました。
木村さん、杉山教授、お忙しい中こんなにも暑い&熱い岡山へお越しくださいまして、本当にありがとうございます。
さて、シンポジウム関連レポート、次回は最終章。
「西日本連絡協議会」のご報告です。(つづく)