圃場巡回ご報告 その2

皆さまへ、収穫祭のご案内です。すでに今年度の更新手続きが完了なさっているNPO会員の方、生産者の方へはお知らせしましたが、当会恒例となりました収穫祭を開催いたします。

詳しくは、ご案内ページをご覧くださいませ。⇒詳細ページへ★(click!)


さて、圃場巡回 続きのレポートです。

シラサギさんの行列です!シラサギのフリをしてドサクサに紛れてるのが一人…いや、一羽、いますねwwwww
シラサギさんの行列です!シラサギのフリをしてドサクサに紛れてるのが一人…いや、一羽、いますねwwwww

これ、すごいでしょう?とある生産者さんの田んぼです。

「毎朝、ウチにだけ来てるんですよ~!」と、8月頃のお写真を送っていただきました。

生物多様な圃場=エサになる動植物が豊富にあるということなのでしょうね。

 

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JAさん「ニコさん、この稲、見てごらん」

何が何やら、訳がわからず覗き込んでいると、

JAさん「これが “ 男前 ” ってやつ。こういうお米は、炊いても美味しいんよ」

ニコ 「えっ?見ただけでわかるんですか?」

びっくりして尋ねると、ニンマリと笑いながら深くうなずいて、

JAさん「さっき見た他所のあの稲は、収穫量はまぁまぁじゃけど、炊いてもポソポソした米になる。

 これは、炊くとふっくらして美味しい米になるよ」

ニコ 「えーっ!そんなの、見てわかるんですか!?どこを見たらわかりますか?」

 

JAさんはニコニコするだけで、それ以上は教えてくれませんでした(笑)

長年の経験がモノを言うとはこのことですね。ちなみに、反収がどのくらいになるかの予想もほぼ当たるそうです。何だか、魔法使いかお米の仙人と一緒に巡回している気分になってきました!

この“ 男前 ” の稲を作ったのが、こちら一番左にいらっしゃる生産者のOさん。

亡くなられたお父様の跡を継ぎ、田んぼの一部を自然栽培に転換されました。何となくご両親の農作業は見てこられましたが、ご自身の稲作の経験はまだ浅いとのこと。なかなか巡回時にお会いできないので、この日はたくさん質問を受けました。少しはお役に立てているといいのですが。Oさんはずっと笑顔でお話されていて、こちらまで釣られて笑顔になっちゃいました。稲にも伝わっているのかも知れませんネ♪

 

さて… 敢えてこちらもご紹介させていただきたいと思います。

草の猛威に襲われてしまった圃場です。耕起、あるいは代掻きの時点で、何か1つ、ボタンを掛け違えてしまった可能性があります。「夏場の水が足りなかったかも知れない」とのことでした。

 

自然栽培の米づくりで人間が手を出せるのは、ほぼ「水」だけです。

昔、年貢を納めなくてはならなかった農民にとって「水」は命でした。村では水の取り合いで争いが絶えなかったという話は多く、村の掟を破った者は水を使わせてもらえない制裁もあったといいます。水神様を大切に祀ったり、雨乞いをしたりなど、日本の古くからの風習に「水」に対する日本人の想いを知ることができます。 それくらい、稲作と水は切っても切れない関係なんですね。

 

生産者のOさんは、途中でこの田んぼの異変に気がつき、あらゆる手を尽くしてくださいましたが、途中からのやり直しは大変難しかったようです。それでも、健気に実っている稲の姿がありますから、次へとつなげくださいね。この環境でがんばったのですから、丈夫で辛抱強い稲君のはず!どうぞ種採りして、この稲君たちの命を繋げてあげてください。

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今年度、私たちの取組みに賛同し、ご参加くださった生産者さんは当初76名。途中でご本人の都合により2名の方が辞められ、74名の方が残りました。当会では、取組みをご紹介するために、生産者リーダーである理事の山田をご紹介するケースが多いですが、彼だけでなく、懸命に自然栽培に挑戦してくださっている生産者さんがこんなにたくさんいらっしゃいます。木村興農社からの情報では、この数は全国的に見ても桁が違うそうです。

 

才能に恵まれた“ 名人 ” が作る、自家ブランドを冠した特別なお米も大変美味しいものですが、無名の人々が、普通の人々の、普通の暮らしのために、無心になって作ってくださるお米にも、健康的で威張らない、尊い価値があります。

私たちは、こうした生産者さん達のお米を分け隔てなく、すべてブレンドして皆様へご提供しています。(

当会に集まるお米は自然栽培の圃場と同様、多種多様、しかも私心のないお米なんです^^

※異品種の混合はありません。すべてJAの検査とNPOの認証を受け、色彩選別し、

徹底された設備力で保管・精米された、綺麗な「朝日」のみをブレンドしています。

 

お米の食味に詳しい全農の担当者さんから伺った話では「ブレンド米の方が返って美味しいこともある。昔の米屋は、ブレンドするさじ加減で、その腕を試されたものです。それが本来の米屋の仕事だったんですよ」とおっしゃっていました。当会の認証米の評価が高いのは、一人一人の生産者さんの心が反映されたお米が集まり、複雑で奥深い “ 味わい ” となって表れたものだからなのかも知れません。

今年の新米は果たしてどんなお味でしょうか…。それは生産者一人一人の真心に掛かっています。

NPO会員さん、一般消費者の皆さんが、ずっと黙って見守り、応援してくださっていますよ^^