善意の循環

試食米を発送した後も、「朝日」の集荷はまだまだ続いています。

ただ今、事務局はてんやわんや。認証業務と受注確認、発送手配… 新年度の生産者募集の準備、やることが盛り沢山で、ちょっとピリピリムードなんです(^^;

そんなときに、こんなお便りが届きました。

ツルウメモドキの実が可愛い♪
ツルウメモドキの実が可愛い♪

ある会員さんからのお葉書です。

10月の収穫祭と懇親会にご出席くださった方で、ご自身だけでなく、お孫さんにも当会のお米を食べさせたいと、いつもご注文くださっています。そして時折、こうして私たち事務局へも励ましのお便りを送ってくださいます。

 

お葉書には、収穫祭のお礼と共に(お礼を申し上げるのは私たちの方なのですが…><)生産者の皆さんへの感謝の気持ちがつづられていました。そして、私たちに会いに来てくださるために、2度も自転車に乗って挑戦したものの失敗した、と書かれてあります。

 

この方のお住まいから事務局へお越しになるには、地元で「古城池の坂」と呼ばれる長い長い坂を上り下りしなくてはなりません。木枯らしの強い今の季節に、ご年配のこの方があの長く険しい坂を上ってまで… 想像して、涙が出ました。

ほかにもこんな会員さんがいらっしゃいます…

子どもがアレルギーを持っています。少しでも良いものを食べさせてやりたいと思い、入会したいと思っています。主人や姑には、「スーパーでもっと安いお米が買えるのに」と反対されましたが、私が美容院へ行くのをやめて、その美容代をお米代に充てるからと説得しています。

このように会員さんの中には、切実な想いを持ってご支援くださる方が沢山いらっしゃいます。そして、このお米の価値を誰よりも理解してくださっている方が多いのです。会員さん達のこの想いを、生産者の皆さんの心へ絶対にお伝えなくてはならない ―私たちの大切なミッションの一つです。

会員さん達の想いが通じたのか、先日こんなことが起きました。

「ニコさーん!生産者の人達が予定よりも仰山お米を持って来とるから、認証シールが足りそうにないけん、持ってきてー!」…お米を集荷中のJAさんからの連絡でした。

今年はどうやら、自然栽培のお米が予定よりも沢山集まっているらしいのです。自然災害にも秋ウンカにも耐えた自然栽培、お米の出来がよかったのでしょうか。

 

当会では、「保有米をのぞく全量を拠出する」ことが事業規約の一つとなっており、これに同意してくださる方に生産者登録をしていただいています。ですが、規約で縛って生産者さんのご苦労されたお米を集めることはしたくありません。当会へ拠出する分を出してしまえば、あとは保有米にしようがどうしようが、生産者さんのお気持ち次第。沢山できたことを黙っておくこと、別のところでもっと高い値をつけて直販(=規約違反)をすることは可能なのです。それなのに、予定よりもたくさん、JAの倉庫へ持ってきてくださっている生産者さんがいる…!奇跡だ!と思いました。

 

これは言い換えれば、当会に集まるお米は「農薬も肥料も施していないお米」というだけでなく、そこに生産者さんの「善意」も入っているお米ともいえるのです。心がなくては自然栽培は完成しない… 当会の目指している自然栽培の普及がここにあります。(現在、こうした生産者さんの善意をもっと評価し、買い支える価格について見直しをしてはどうか?という動きが出てきています)

 

今年の収穫米はすでに完売状態。実はオファー数に足りていません。

来年度へ向けて、収量・生産者数共に増やしていくことが喫緊の課題となっています。これは当会内部だけに限らず、全国的にもいえる課題となっています。今あちこちで、私たちの仲間の団体が自然栽培の実践者を増やしたいと奔走しています。

 

流行っているから、売れるから、というのではない、心ある自然栽培の実践者を、切なる想いで待っている人達(+自然界の生き物達)がいます。近日中に当会も新年度の生産者募集を行いますので、「よし!ひと肌脱いでやってやろう!」という農家の方をお待ちしたいと思っています。