
成果報告会後、大変多くの反響をいただいております!
「岡山がこんなに進んでいるとは!」
「私もぜひ参加したい!」
「岡山のJAって、なかなかやりますね!」
嬉しいですね~(*´∇`*)
山陽新聞の地方経済欄にもご紹介いただいたほか、NHKの中国5県でも、テレビ・ラジオで数回にわたりリピート放送されました。(山陽新聞大河原様、NHK寺井様、ありがとうございます)
木村さんの活動をレポートする専門誌『農業ルネッサンス』さんの公式Facebook でも、たくさんのシェアとコメントをいただき、大変嬉しく拝見しています。(編集長 温野様、ありがとうございます)
会の後半は、弘前大学農学生命科学部の杉山教授による講話から始まりました。

杉山教授は、昨夏「自然栽培を科学する」と題したシンポジウムで初来岡されましたが、その際、当会の認証田のいくつかから土をサンプルとしてお持ち帰りいただき、分析をお願いしていました。お話の前半はまず、「自然栽培は初めて」という方のために、簡単に自然栽培の定義や特徴、ほかの栽培法との違いをご説明いただき、その後に岡山の自然栽培の特徴や今後の栽培アドバイスをお話くださいました。

自然栽培はよく、「窒素が少なめ」という特徴が挙げられます。作物が生長するためには「窒素・リン酸・カリ」が必要といわれていますが、中でも、窒素は作物が生長するのに大量に必要とされています。このため、これまでの栽培法では化学肥料や有機肥料などを使って施肥を行い、土壌中に大量に窒素を入れてきました。
自然栽培では、自然界に元々存在する窒素を自然生態系の循環に任せるため、必要な窒素だけが土壌中に固定されています。このことは、作物が生長のために生成させる硝酸態窒素も少ない、ということを意味しています。(生長のための必要最低限がある、といった方がよいかも知れません)これはつまり、硝酸態窒素から生成されたアミノ酸やタンパク質が少なめになり、アミノ酸やタンパク質を求めて集まる虫も少なくなる、というメリットをもたらしているのです。
この「窒素循環」の内容については解説ページを別に作りましたので、ご覧ください
⇒カテゴリ:自然栽培のこと>自然栽培のプロセス1★click!)
さて、これまで東北地方の自然栽培圃場の調査が多かった杉山教授ですが、今回初めて、岡山の気候や土壌分析から総合的に検証していただいた結果、岡山ならではの栽培ポイントが見えてきました。

今回の土壌分析では、当会の圃場では、意外にも慣行栽培の圃場よりも窒素が多めに出ました。
このことから考えられるのは、まず、岡山県は「晴れの国おかやま」というキャッチフレーズが示すように、降水量が少なく日照条件に大変恵まれているため、圃場の有機物の分解が非常に速いことが考えられます。分解された有機物は土壌中に蓄積する間もなく、作物が早い段階で栄養分として吸収しやすい傾向にあるということ。当会の「朝日」の初期生長が著しく、稲の分けつ数が驚くほど多いことは、これまでのBlogの稲の写真などで確認いただけることと思います。
東北地方では「いかに窒素循環を活性化させつつ、継続させるか」という上向き方向へ考える必要があるのに対し、岡山は「いかに抑えつつ、継続させるか」という下向き方向を考える必要がありそうです。
こうした特徴をとらえながら、稲の登熟期までの栄養配分をどのようにコントロールしていけばよいか、土の状態をどのように保てばよいのか、といったことを考えてみて欲しいとアドバイスを頂戴しました。また、同じ岡山でも、県南と県北とでは気温や日照、土壌、水利などいろいろな点で大きな違いがあり、県北では朝日米の栽培が困難な地域もありますので、(実ってもカビが生えたり、脱粒が起きやすかったりし、買取を断念した事例があります)このあたりの細かい研究も我々の今後の宿題となりそうです。(県北の課題研究もすでに進行中です)
会場には、岡山県内だけでなく、自然栽培に取り組んでいる鳥取県倉吉市や香川県高松市、山口県長門市などからも来場者がいらしていました。各県の気候風土や土壌の特徴を踏まえながら、それぞれ独自の自然栽培を確立できるといいですね。