圃場巡回レポート2

自然栽培の恩恵の一つとして、レンゲが自生したことは多くの皆さんの関心を集めたようです。

こちらの圃場も満開のレンゲ!でも… 実はこちらは人為的に種を蒔いてしまったレンゲなんです。

 

圃場内をじっくり観察してみると、黒いアブラムシがレンゲの茎を覆っている様子が散見されました。

 

窒素過多になっている圃場に、さらに種を蒔くことによって咲いたレンゲ。この圃場とここへ生えている植物は、窒素が飽和状態になっていることが想像され、この窒素から生成される栄養分を求めて、このアブラムシのように虫が集まっていると考えられます。

この条件でこれから米づくりを始めるとすると、どのようなことが起きるでしょうか?

 

ここから先は、生産者がじっくり観察と考察を重ね、実践することを私たちは期待しています。最初からメリットとリスクをお伝えすることは積極的にはしていません。その代わり、即 認証外として梯子を外すようなこともいたしません。(場合によっては即 外されることもあります)

自然栽培の農家になるとは、トライ&エラーを繰り返すこと。そうした彼らの受け皿になれるNPOでありたいと、私たちは認証活動や生産者育成の方向性について、木村興農社からアドバイスをもらいながら今も学び続けています。

 

こちらは自然栽培に切り替えて2年目の圃場です。こちらはレンゲは全く生えていません。スズメノテッポウがびっしり生えています。

 

こちらは自然栽培3年目の圃場。草はほんの少しだけ。かなり乾いており、土も固めです。

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このように、「自然栽培の朝日米」といっても圃場一つ一つに個性があり、そこで稔るお米の味も微妙にバラつきがあります。細かくいえば、一箇所の田んぼの中ですら、日当たりのよい部分とそうでない部分、湿っぽい部分とよく乾いている部分とで、その稲株から収穫されるお米の味は違います。

 

甘いお米、甘くないお米、硬質のお米、軟質のお米、粒が大きい・小さい 等々…このため、当会がご提供するお米は、いつも一定の味をご提供するために、すべての生産者のお米を集めてブレンドし、均一に調整してもらっています。岡山パールライスの厳しい衛生管理の下、長年のノウハウで確立された精米技術が、奥深い味わいを実現しています。「餅は餅屋」とはよく言ったもので、岡山パールライスさんの技術力、設備力は圧倒的なので、安心してお米を託すことが出来ます。自然栽培のお米がほかのお米と混ざらないよう、完璧な管理を引き受けてくださっている岡山パールライスさんにはいつも感謝しています^^

 

「日本の農業をダメにしたのはJA」とまでいわれてきたJAさんと農家の人が、仲良く田んぼ談義に花を咲かせ、そこへNPOと木村興農社がいる光景です。


売る人、買う人、作る人。自立した者同士が、相手の領域を侵すことなく、適材適所で自分の得意分野を発揮し、ミッションが終わればそれぞれの持ち場へ帰る。もう一度、農業をやり直そうとしている人たちの姿。名も無き人たちが、自らの名を挙げることもせず、誰の目に留まることもなく、偉業となり得ることをしようとしています。

 

理事長の高橋は言います。「近江商人の言葉を知っていますか。『売り手よし、買い手よし、世間よし』…売り手の都合だけで商いをするのではなく、買い手が喜び、さらに商いを通じて地域社会に貢献し世間に喜んでいただく。売り手と買い手だけじゃダメなんです。2~3の会社が潤うことは簡単なんです。でも、この取り組みはもっと大きなスケールで広がらないといけない。

 

そのためには、自分だけがノウハウを持ち出して一人勝ちしようとしたり、牽制し合ったり、買い叩きしたりせず、然るべき仕事をした人へは、然るべき経費・手数料を支払う。農家の方へ適正な金額で買取りを行う。農家の方にきちんとお米を拠出して頂くのも同じです。最初は少し窮屈かも知れませんが、そうやって皆が一緒に成長するんです。農業から再出発して、日本の経済全体が健全になっていかなくちゃいけない。

 

「自然栽培のものは体によさそうだし、すごく美味しいというのはわかったんだけど、特別に揃えている専門店まで買いに行くのは大変。ネットで買うのにも抵抗がある。その辺のスーパーで簡単に買えるようになってくれないかな…」

こうした世間の多くの要望に応えるためにも、まず生産量を増やさなくてはなりません。生産量が増えたとしても、それを引き受ける流通が充実していなくては売れ残ります。(木村さんはここにご苦労されました。)私たちは、広く流通に乗ることを願い、JAさんにも参画をお願いし、たくさんの企業にもお声がけしています。生産者さんたちが安心して栽培だけに専念でき、消費者の方々が安心して食材を買うことができ、そこへ関わる企業が社会貢献をしつつ利益を生む。その利益が個人へと再び還元されていく・・・

 

圃場巡回をしていると、いろいろなことを考えさせられ、これからの社会をよくしようと自分の出来ることで挑戦している方々との出逢いがあり、いつも充実した気持ちをいただきます。この仕組みには、既存の古いものを見直し新しい価値を見出すという、自然栽培の考え方そのものが宿っているように思います。皆さんもこの仕組み作りに参加し、応援してくださいませんか(^^)/