命のバトンタッチ

 

ここ岡山でも、そろそろ初夏の雰囲気が漂ってきました。春を謳歌していた植物たちも終焉を迎え、種子を作り始めています。春に美しい花を咲かせていた桃や梅も、ふっくらとした果実を膨らませていますよね♪ 自然界は、春から夏へとバトンタッチを始めたようです。

 

田んぼの畦に生えている野草たちも観察してみました。この真っ黒なもの、何でしょう?

カラスノエンドウの種子です。刈らずにそのままにしておくと、マメ科の植物らしく、ちゃんとサヤエンドウのような小さな豆になります。これを干してお茶にしたり、炒めておかずの一品にして食べる人もいます。このまま畑へ返すことで肥料にもなります。

 

豆になった後、黒く熟して鞘になります。しかもよーくご覧ください。鞘がねじれています!ねじれにねじれて、最後にはパーンッ☆って弾けて種が飛ぶしくみになっているんです。少しでも遠く、子孫を残そうとする植物たちの健気な作戦!

 


左はまだ種を飛ばすまで、あともうひといき!といったところでしょうか。右はすでに弾けたあとのようです。ねじれて鞘が真っ二つに割れています。面白いことに、しばらく経つとこのねじれはまっすぐに戻るそうですよ。余計なエネルギーは使わないのでしょうか。植物って本当に賢い!

鞘のねじれも、右巻きと左巻きがあるのでしょうか。皆さんの周りにあるカラスノエンドウの鞘は、どちら巻きでしょう?Facebookのアカウントをお持ちの方、Facebookにも同じものをエントリーしていますので、よろしければコメント情報お待ちしております(^^)/

アメリカフウロソウ(帰化植物)の鞘
アメリカフウロソウ(帰化植物)の鞘
ナガミヒナゲシ(外来種)の鞘
ナガミヒナゲシ(外来種)の鞘

ほかにもこんな植物たちを見つけました。

アメリカフウロソウ(左)は鞘の下から裂けていき、裂片を巻き上げた時に種子を弾き飛ばします。春にオレンジ色の小さなポピーのような花を咲かせるナガミヒナゲシ(右)は、花を終えると芥子坊主といわれる姿に変わり、機が熟すと種が出てくる窓を開きます。(黄色い矢印の部分)

どの植物の戦略も、本当によく出来ていますね。

 

こちらはおなじみ、モミジの種。プロペラ状になっています。竹とんぼみたいに遊んだよ!という方もいらっしゃるのではないでしょうか^^ 

 

少しでも滞空時間を長くするために、プロペラの下面と上面に生ずる気流の圧力差を作って小さな空気の渦(翼端渦を作ります。この力を「揚力」といいます。揚力を使ってくるくる回転しながら、モミジの種は風にのって旅します。パラグライダーも同様の原理を利用しているんですって。このプロペラ、虫眼鏡でよーく見てみると、トンボの羽根にそっくりなんですよ。

 

こうして見てみると、植物は人間の気づかないうちに、したたかな戦略で命のバトンをつなげていますね。除草剤を撒いていなければ、こうした植物たちの営みを見届けることができます。この週末はお散歩がてら、植物たちの健気なバトンタッチの様子を観察してみてはいかがでしょうか(^^)/