皆様、お盆休みはいかがだったでしょうか。当会も本日より業務再開。お問合せなどには順次お返事をしておりますので、まだの方は今しばらくお待ちください (。v_v。)
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さて、巡回レポートのつづきです。

こちらは、とうとう木村式自然栽培Only で専業農家となったご夫婦の田んぼです。最初が肝心だということで、できるだけ良い苗を作ろうとポット苗での育苗を決意し、そのために田植え機も道具もすべて刷新なさったというツワモノ!凄い覚悟です!!
その甲斐あって、今年からはピシっと先端まで元気のいい苗が育ち、ご夫婦はご満悦。苗も風にそよいで気持ちよさそうです。

ここ岡山県では、一般的な稲作では7月下旬~8月上旬にかけて中干しをします。田んぼの水を一旦落として、根が水中に溶けている養分を吸収するのを抑えることで、稲の植物ホルモンにそれまでの栄養生長から生殖生長へと切り替えさせるのです。すると稲は、穂づくりを始めます。
しかし、自然栽培の朝日は田植え時期も遅く、この時期はまだ栄養生長をして盛んに分げつをしているので、中干しをしません。水をたっぷり入れて新鮮な酸素を送ります。

普通、水の溜まっている場所というのは、表層にいくほど温度が高くなりますよね。お風呂等で想像できるかと思います。しかし水田では、表層~下層までの温度がほぼ一定。これは、水田の水が自然対流しているからなんです。
そのしくみとは・・・・
日中、太陽の熱で温められた下層の水は比重が軽くなり、表層へ行きます。それと入れ替わるように比重の重い表層の水が下へ降ります。
夜になると、外気に触れて表層の温度が下がり、下層の土が日中に温められた熱を放出するため、夜間も水の対流は続いています。
水が対流することで、水中の溶質も撹拌され均一になります。水中の物質だけでなく、土の表面にいる光合成細菌類(シアノバクテリアや珪藻など)の活動も活発になります。これら光合成細菌類は窒素固定もしており、稲には大切なパートナー。また、光合成細菌類は嫌気性ですが、好気性微生物との共生によって窒素固定を高めていますので、双方間のバランスを保たせることは非常に大切なんです。
ここへ除草剤や農薬を入れて光合成細菌類が死滅してしまうと、酸素濃度が低下し、酸素を必要とする好気性微生物やその他の生き物が生息できなくなります。それは、稲が必要とする窒素の固定をも困難にする…ということなのです。
つまり、このしくみを壊さなければ、自然界に循環するものだけでも稲作が可能なんですね。この水田の中の循環という高い生産性があるおかげで、水稲栽培は畑作と違い、肥料がなくても育ちやすく、さらには連作も可能というわけです。
水は、地球上のエネルギーや物質の流れに本質的に関わっている…何気なく広がっている水田では、そんな循環のシンフォニーが日々繰り返されているんですね。
地球が「水の惑星」と呼ばれるのは言い得て妙だと思いませんか。^^
