成果報告会レポート<2>

生産者体験報告のあとは、県外からお越しいただいたゲストの発表。

 

●農業生産法人「みどりの里」より、自然栽培農家の野中 慎吾 様(愛知県豊田市)

野中さんは、愛知県豊田市にあるスーパーやまのぶ(株式会社山信商店/後述)が設立した農業生産法人「みどりの里」の初代農場責任者さんです。

やまのぶの山中会長からスカウトされ、自然栽培の研修を受けた後、「みどりの里」の圃場で米、野菜、そして看板商品となるイチゴの生産に取り組んでいらっしゃいます。


研修後も今も研鑽をつみ続け、普通の栽培作物と遜色のない色・形にまで育てた野菜を店頭に並べていらっしゃいます。また近隣の農家の人達とも勉強会を開いています。この勉強会は、自然栽培だけでなく、慣行栽培や有機栽培の人たちも集まり、お互いの得意分野を披露しあうことで、自分の課題のヒントを得るなど、大変有意義な会となっているようです。

また最近では、「農福連携」にも力を入れているそうです。ステージでは、こうした取り組みの様子をご紹介いただきました。

 

ちょうど報告会の開催日、2月6日には野中さんのこれまでのイチゴの自然栽培奮闘記をまとめた本が出ました。

『希望のイチゴ』田中 裕司 著 扶桑社 ¥1,080

 

たくさんの人たちとの縁が自然栽培の世界へと引き込んでいく様子や、イチゴを自然栽培で育てることがいかに困難であるか、臨場感あふれる筆致で描かれています。

 

●株式会社ハッピーナチュラル代表 田中 美帆 様(岐阜県恵那市)

田中さんは、「ナチュラルなもので、日々の生活に彩りと、幸せを」という想いから、ママの視点で選んだ衣食住の商品をオンライン販売していらっしゃいます。

http://www.happynatural.jp/

ご自身の体調不良や、2男2女のお子様のアレルギーを食生活から見直したことで、克服されたご経験をお持ちです。そんな田中さんが、当会の認証米「朝日」に目を留めてくださり、認証店への申請があり、お取引が始まりました。

▲岡山県産 木村式自然栽培米「朝日」のお買い物レビュー
▲岡山県産 木村式自然栽培米「朝日」のお買い物レビュー

オンラインショップ「ハッピーナチュラル」では、お買い物レビューも公開されています。

おかげさまで、「朝日」の評判は上々!リピートが多いのも特徴なのだそうです。小さな子どもを持つママ世代を顧客に多く持つショップで、このような評価をいただけるのは本当に嬉しいです。


●スーパーやまのぶ(株式会社山信商店)生田友成 様(愛知県豊田市)

先にご紹介した、「みどりの里」の母体となっているのが、食品スーパーマーケット5店舗を展開する株式会社山信商店さんです。ほかにレストラン4店舗も運営されており、「みどりの里」で栽培された野菜などは、これらのスーパーやレストランへ卸されています。当会の「朝日」もこちらの一部レストランへご提供させていただいています。

http://www.yamanobu.co.jp/original/cultivation.html

 

スーパーやまのぶさんでは、自然栽培のコーナーを特設しています。そうなると、市場から来る一般の栽培野菜とダブってしまうことも。そんな時こちらでは、会長の山中 勲さんの”鶴の一声” で、自然栽培の野菜が店頭に出されるのだそうです。これには驚きます。

 

木村秋則さんの古くからの支援者でもあった山中会長は、安全・安心な食材を誰もが買いやすい価格で提供したいという強い想いを貫く経営者。会長のこの情熱とリーダーシップが、自然栽培農家が安心して栽培に専念し、クォリティの高い作物を実現させる原動力となっています。

 

またこうしたお店のポリシーは、消費者へも確実に届いており、やはり子どもに安心な食べ物をと考える主婦たちの支持を集め、近くに大型商業施設が出来た際にも、売り上げにはまったく影響が出なかったという伝説をお持ちです。

今ではこうしたママさん達が集まってメニュー開発・お惣菜を作るコーナーまで立ち上がっているそうです。

mama's kitchen ことり http://mamankotori.wix.com/kotori


このように当会では、自然栽培で作られたものがどんな想いで、どのようにして作られているのかをきちんとご理解くださるユーザーのみに、認証米「朝日」をご提供しています。

 

「いいモノっていうのはわかりました。では、どのくらい安く仕入れさせてもらえますか?」と安易にディスカウント交渉をなさる所へはお繋ぎしていません。『奇跡のリンゴ』のネームバリューや流行に乗りたいだけの方もお断りしています。

 

先日、売れ残った大量の恵方巻が廃棄処分されていることが話題になっていましたが、これはただの「モノ」として扱われてしまった悲劇なのではないでしょうか。処分された恵方巻にも、お米を作った人、野菜を作った人、海苔を作った人、酢を作った人、調理に携わった人、店頭へ配送した人・・・いろんな人達の手が介されたはず。

 

私たちは「朝日」はただのモノではなく、想いと命の込められた「宝」として、需給バランスを非常に大切に考えています。ここまでの覚悟を持ってNPOは販路開拓をがんばり、支援ユーザーの方々もそれに応え、買い叩くことなくリスクを背負ってお買上げくださっています。

 

どうか生産者の皆さんもその想いに支えられていることを自覚し、責任と誇りをもって生産していただきたいと思います。「ノウハウだけ教えて」「ちょっとくらい…」という甘えがある方は、真の自然栽培農家にはなれません。どうか日々田んぼと向き合い、支援してくださる方々の期待に応えてください。

健全な食の生産と、健全な流通の実現。

それを支えているのは、国でもJAでも、企業、団体でもありません。

 

健全な社会は、つくる人、たべる人、一人一人の自覚から始まります。

つづく