
最後には大阪府木村式自然栽培実行委員会(以下、大阪実行委)の皆さんからの報告。
「なぜ大阪?」…そんなお問合せをいただくことがありますので、ここで少し経緯をご紹介。
元々、岡山では専業・兼業問わず、お米を作っているご家庭が多いんです。なので、「うちは自分ちでお米を作っているから」「親戚がお米を作っていて貰ってるんよ」といった方がたくさん。岡山県は「生産県」なんですね。そこで、県内だけで消費を喚起するだけでなく、もっと県外へもこのお米を食べていただける人を…ということになり、「じゃあ、大阪は消費県ということでいきましょう!」と、ひと肌脱いでくださったのが、大阪の皆さんなんです。
今、大阪実行委の皆さんが特に力を入れてくださっているのが、幼稚園・保育園・学校の給食に、自然栽培のお米を食べてもらうこと。稲田理事長・杉本副理事長からは、最近の子どもの「食」の貧困に話が及びました。稲田理事長たちは、炊き出しボランティアなどの活動もなさっています。
豊かな国といわれるこの日本で、最近まともにご飯を食べていない子ども達が増えています。経済的なことが理由であったり、親の育児放棄であったり、理由はいろいろとあるのですが、とにかく朝ご飯や晩ご飯をまともに食べていない。菓子パンやおやつが置いてあるだけ。…そのような家庭の子どもは、給食だけが唯一のご飯なので、これでもか!という程、給食をほおばるのだそうです。ゆくゆくは、こうした現状の子ども達へも自然栽培のお米を食べてもらい、元気になってもらいたいと考えているとのことでした。
人間は、食べたもので出来ている―――ちゃんとした「食」が整うと、子ども達は身体だけでなく心も整ってきます。
この考えにいち早く賛同された、学校関係者の方も駆けつけてくださいました。大阪清風学園の平岡副校長先生と、三ツ島保育園の岡本園長先生です。
「これからは、モノではなくコトが大切にされる時代になっていくと思います!」と力強くお話くださったのは平岡先生。1000人近い人が集まる学校説明会の場で、食堂を建設中であることを説明した際、ほんの数秒、自然栽培のお米を導入する予定であることを触れただけなのに、翌日からお問合せが殺到したそうです。塾業界でも「清風学園が、食に力を入れて生徒をサポートするらしい!」と、瞬く間に噂が広がったのだとか。「この取り組みは、これからの世の中のためになるコトですから、ぜひ皆さん、これからもよいお米を作ってください!」と激励してくださいました。
岡本先生の保育園でも、「このご飯が美味しいんでしょうね、子ども達、ご飯だけをおかわりするんです^^」と、とても嬉しそうにお話してくださいました。落ち着きのなかった子が、びっくりするほど落ち着いて来たのだとか。これは本当に嬉しいですね。子ども達が美味しくご飯を食べてくれている様子、いつか生産者の皆さんにも見ていただきたいです。
これからの将来を担う世代に、健全な食を提供し、自然栽培の「相手を想い、やり過ぎず、やらなさ過ぎず」という精神も一緒に届けることができたなら、きっと子ども達は健やかに育ってくれるのではないでしょうか。今、教育力の低下が叫ばれていますが、そこだけを見ているのではなく、案外「食」や「環境」を整えるほうが、早く解決へつながっていくのかも知れません。ちょっと使い方が違っているかも知れませんが、『将を射んと欲すればまず馬を射よ』なんていう諺もあるくらいですしね。^^
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こうして、多くの皆様が関わりご支援くださったおかげで、平成27年度も無事、締めくくることが出来ました。会場へは、JA・全農グループの皆様もお越しくださっていました。NPOスタッフが少ない為、何かあればすぐにサポートできるように…と、会のほとんどの時間、椅子に座らずに立って見守ってくださった方もいらっしゃり、会場設営から片づけまでお手伝いくださいました。目立たない所、見えない所に隠れている善意こそ、私たちNPOは見逃してはいけないなと思う出来事でした。
平成28年も生産者数・圃場面積がどんどん増えています。
小さな善意が大きな輪へと広がるよう、今年度もどうぞ皆様、ご支援よろしくお願いいたします(^▽^)/
(レポート終わり)