
ほとんどのエリアで収穫が終わりつつある中、ポツンと残っている木村式の当会認証の田んぼ。

ここは、入院を余儀なくされた生産者さんの田んぼです。田植えの後に体調を崩され、通院治療をしながらがんばっておられたのですが、稲刈り直前になって、ドクターストップがかかってしまいました。
田んぼはお一人で管理されていて、あとを手伝ってくれるお身内がいらっしゃいません。このため、病床からもずっと稲を気にしておられて、一時帰宅してでも刈り取りたい!とおっしゃっていました。
事務局としていてもたってもいられず、近隣の生産者さん達へ声をかけてみました。しかし、やり慣れていない田んぼに入るのは、ベテランでも難しい。農業機械の中でも、コンバインは特に故障しやすいからなんです。湿気のあるゆるい所はどこか、機械をどこで回すかなど、その圃場のクセを熟知していないと、脱輪したり機械にゴミが詰まったりして、厄介なことになるリスクもあるのです。「手伝ってあげたいけど(物理的条件として)厳しいなぁ。ごめんなぁ」と申し訳なさそうに言ってくださる方もいました。


そんな中、一肌脱いでくださった方達が。水管理に走ってくださる方、刈取り~乾燥調整~出荷までを引き受けてくださる方等々。6haほどあるので大変です。
圃場巡回をして写真を撮り、圃場地図を持って相談に伺うと、既にすべての田んぼを見て回ったとのこと。
「うちは委託も受けとるから大丈夫。任せとき」と、こんなに安くていいの?と思うような作業見積書をその場でパッと書いてくださいました。こんな時は経済的なことが一番に心配になるであろう、そこをキッチリわかってくださっているからこその、見積書でした。

困った時はお互い様じゃ――その仕事の手際のよさ、周到ぶりに感動しました。プロとはこういうものなのか、と。病床にいる彼、きっと喜ぶぞ!とさっそく病院へ報告しに向かう当会の顧問。
病に伏してもなお、自然栽培への情熱を持ち続けてくれている生産者さん。そんな彼を受け止めてくださる超ベテランの長老達。こうして自分の務めを日々当たり前のこととしてやっている皆さんを、心から尊敬します。確実に互助の精神が育っています。NPOが一つのチームになっていくようで嬉しいです。
病と闘っている生産者さんのご快復と、一日も早く田んぼに戻ってこられることを、ぜひ皆さんも一緒に祈っていてくださいね。