8月6日の「自然栽培田んぼの生きものしらべ」とは別に、県内各地にある当会の認証田で生きもの調査を開始しています。

最初におじゃましたのは、岡山県北にある認証圃場です。那岐山から流れる湧き水と雨水によって集められた溜め池。ここから水路をとって整備された田んぼは、近くでホタルも飛んでいるという、なんとも魅力的な場所です。
今回調査対象としている圃場は、
1.県北の圃場
2.県南の圃場
3.栽培歴の浅い圃場、長い圃場
4.慣行栽培圃場、木村式自然栽培圃場
…という条件下で、動物相にどんな種類が、どのくらいの量で生息しているかを調査します。木村秋則さんが提唱している自然栽培では、肥料、農薬、除草剤を使用しないことのほか、基本的には耕起することもOKとしています。自然系の栽培法には、不耕起を奨励しているところもあり、このあたりが少し違う点です。
年に一度耕起するということは、それまで培っていた生物相がいったん壊され、生態系ピラミッドがリセットされることになります。毎年そのような人為の動きの中で、どのような生きものバランスになっていくのかを探ることが、目的の一つとなっています。ゆくゆくは、毎年リセットされる条件下での生物多様性が、「栽培」という人間による営農にどのような影響をあたえているのかを、再度確認してみたいと考えています。

今回ご協力いただいたNさん。Nさんは、渓流釣りを趣味に持つナチュラリストで、自然が大好きな方。調査のお願いをした際にも、即答でOKをいただきました。
畦つけも丁寧に作っておられ、水の管理、苗の観察も細やか。NPOへ提出される必要書類も遅滞なく正確に記入して出されており、こうしたところにも丁寧で誠実なお人柄が出ています。
極端なほど几帳面すぎることもなく、かといって乱雑ではなく、適度なバランス感覚で栽培を進めていらっしゃる方なんです。
今回調査対象とした圃場の生産者さんは、「やり過ぎず、やらなさ過ぎず」の自然栽培の理念に適った方を推薦しています。
こうした方々の田んぼはきっと、生きものたちも住み心地がいいんじゃないかなって思うんです。自分がもし田んぼの生きものだったら… ホラ、どんな部屋やベッドで過ごしたいと思いますか? キレイ過ぎる部屋だと落ち着かないし、荒れ放題の汚い部屋もチョット…ですよね。それに、自分のことを大切にしてくれつつも、ある程度は自由にもさせてくれる…そんな人と過ごしたいと思いませんか?^^

今回の調査を依頼した阪田睦子さん。岡山県自然保護センターの主査で、建設環境・自然環境保全の技術士、また生物分類技能検定1級のホルダーでもいらっしゃいます。
子どもの頃はアフリカへ行ってみたい!と思っていたほど動物好きな方で、どんなに小さな生きものでも鋭く見つけて「これは○○ですねぇ~」とにこやかに名前を教えてくださいます。
8月6日に開催予定の「自然栽培田んぼの生きものしらべ」でも、子ども達のファシリテーターをお願いしています。一緒にいると癒されて、とても楽しい方なんですよ!

そんな二人をお引き合わせしたら、すぐに意気投合すること間違いなし(笑)すぐに調査が始まりました。





こーんなちっちゃな生きものなのに、泥の中から見つけて「これは○○ですねぇ~」って名前を次々言っちゃうんです!なんでこんなに小さいのに見つけられるの!?とびっくり。やはりプロってすごいですね!

素晴らしい場所がありました!なんとここ、すっかり見かけなくなっていた “素掘りの用水路” なんです!!
(草に埋もれてちょっと見づらいですが、赤く囲んでいるところに水路が走っています)
近年は、農業者の減少とともに、水路周辺の草刈りや手入れ、管理をする人も減ってしまい、U字溝などのコンクリート護岸の用水路が多くなりました。
コンクリートで固められた用水路では生きものは棲みにくくなり、ホタルやトンボが見られなくなってしまったのも、こうした水路の土木工事がコンクリート化されたことも一因となっています。

素掘りの用水路にダイブする阪田さん。思ったより深いんですね。「ここは素晴らしいですねぇ~!」と阪田さんも大喜び!(^^)!

ちょっと、ちょっと!これは一体何でしょうか?何やら可愛い小動物がいっぱい!!

ハグロトンボも飛んでいました。別名カミサマトンボ。黒い羽に光沢のあるブルーの躰はなんとも優美ですね。

いました、いました、コオイムシ!まだ卵を背負っていないコオイムシもいたんですよ。(写真撮れず・汗 )ちなみに、これはお父さん。そう、コオイムシはお父さんが子育てするのですって!
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こうして採取された生きものは、阪田さんに後日詳しく調べて同定していただくことになっています。同定とは、自然科学で、分類上の所属を決定すること。ハッキリした時点で、皆様にも正確な名前をご紹介したいと思います。
このあと、県南の2圃場でも調査を行いました。そのレポートはまた後日(^_^)/
8月6日の「自然栽培田んぼの生きものしらべ」では、岡山で一番最初に木村式自然栽培を行った、一番栽培歴の長いモデル田んぼで行います。さてさて、モデル圃場には一体、どんな生きものがいるでしょうか!? 阪田さんも一緒に教えてくださいますよ!まだ受け付け可能ですので、ぜひ田んぼにいらしてくださいね\(^o^)/
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