台風もなんのその!

日本列島を包み込むように縦断した台風18号。皆様のところはご無事だったでしょうか。被害に遭われた方には、心よりお見舞い申し上げます。

 

台風が岡山県を通過した翌日の9月18日は、ちょうど生きもの調査2回目を予定していました。延期も考えたのですが、「とりあえず行ってみよう!」ということで、予定通り田んぼへおじゃましてみると・・・

おお~!全然倒伏していません!!台風の影響、まったく無し\(^o^)/

コチラは、朝日米が作りにくいといわれる県北で最適な品種を探すために、試験的に別品種の栽培を依頼している圃場です。早い時期に出穂(穂が出ること)があったので水を落としており、稲穂も色づいていました。

 

これまでも、台風が来ても回復不能になるような倒伏は経験していなかったので、たぶん今回も大丈夫だろう‥とは思っていたのですが、やっぱり大丈夫でした。

 

▼こちらは近くにあった慣行栽培の田んぼです。

倒伏しています。コンバインで刈り取りができなければ、手で刈り取るしかありません。農家の方のご苦労を思うと、どうか収量だけでも確保できますように…と祈らずにはいられません。

 

再び当会が認証する田んぼへ。コチラは、近くの山からイノシシやシカが出てくるので、柵を張り巡らしていました。イノシシの特性を考えた設置の仕方をしています。

 

この生産者さんは、いろいろと細やかな工夫をされる方で、稲に悪さをするイナゴや、イノシシからの攻撃を最小限に抑えるのが本当にお上手なんです。イノシシが来た形跡があるのに、稲が無傷だったのにはびっくり!幼いころから野山で遊んでこられた方で、自然の動きを観察して、それに合わせたりいなしたりするのが面白くて仕方ない!「僕は自然に遊んでもらっとるんですよ^^ 」と楽しそうにお話されていました。

 

不要な殺生もしないため、生きもの調査をお願いするにはぴったりの方なんです。


面白い田んぼがありました。

コチラの田んぼも、朝日とは違う品種を試作していただいているのですが、矢印のあるピーンと立っている緑の稲…コレ、朝日なんです。

 

以前 朝日で作付けしていた時のこぼれ種が、自然発芽していたものと思われます。

 

発芽から生育まで、一切人間の手が加わっていない、野生の朝日。県北で朝日が自然に育つとなると、この時期はこんな姿が普通なんですね。色づく頃には霜が降りてしまうでしょう。県北で朝日の栽培が難しいといわれる所以を見た気がしました。施肥による力を借りない自然栽培は、適地適作はマストなのかもしれません。

ところで、素晴らしいことに、この地区では、慣行栽培の人でさえ畦に除草剤を撒かないそうで、ヒガンバナが咲いていました。

慣行栽培の田んぼでも除草剤を撒いていません
慣行栽培の田んぼでも除草剤を撒いていません
矢印の所はモグラが空けた穴
矢印の所はモグラが空けた穴

ヒガンバナは、モグラ除けによいとされています。ヒガンバナの持つアルカロイドという毒素がミミズを寄せ付けず、そのミミズをエサにするモグラも来ない‥というわけ。

 

それに、除草剤を撒けば、植物の根が脆くなり畦が崩れやすくなります。棚田だと困りますよね。このため、この地区の農家の皆さんは、栽培法の違い関係なく、協力して畦や用水路の整備を行っておられます。
 

平地だとそういう気遣いもあまり必要ないので、波板やビニール資材で囲って水を貯める農家さんもいます。畦を見れば、どんな地区のどんな農家さんなのかがわかると言われています。

調査をしてくださる阪田さんが、サンプルとして持ち帰る虫を入れた瓶を見せてくれました。

 

「この綿には、ネイルでよく使われる除光液をほんの少しだけ含ませています」

 

「1~2滴綿に垂らしただけなのに、どんどん死んでしまう。これより何倍も強い除草剤や農薬を撒いた田んぼの中は、一体どんなことになっているんでしょうね…」

 

なんとも重い言葉です。

 

人間が重い考えごとをしているのもどこ吹く風、オニヤンマが気持ちよさそうに何度も自然栽培の田んぼを旋回していました。

 

ふと見上げた空には、なんとコシアカツバメがたくさん!(写真は撮れませんでした、ゴメンナサイ)

 

それだけ、捕食できるエサがあるということなのでしょうね。

 

コシアカツバメ、だんだん北上しているようです。珍鳥だそうで、これを見られたらラッキーなんですって。ぜひ検索してみてください。自然栽培の田んぼには、自然界のイイモノがたくさん集まっているのかも知れませんね !(^^)!