2017年もありがとうございました

2017年も残りあと少しとなりました。当NPOならびに木村ワールドも本日で終わり、年末年始のお休みを頂戴します。1月4日から通常営業となりますので、よろしくお願いたします。

年明けには成果報告会も予定され準備が進んでいます。今年は「岡山での木村式自然栽培が確立された年になったのでは」と手応えを感じる一年でした。まさしく、「3年目までは収量が落ちて、その後回復していく」という木村さんの話の通りの曲線を描きつつあります。

 

自然栽培の世界に飛び込もうとする人のほとんどは、志を持って入ってくる分、大変真面目で研究熱心です。

 

研究熱心なあまり、いろいろな情報を集め、それぞれの良い所を集約してアレンジすれば、もっともっとより良い成果が出るのでは…と思う人も少なくありません。

 

しかし実のところ、研究しすぎて頭でっかちになり、だんだんと視野狭窄に陥って核心からズレていく人が多いことも、当会は見てきました。

 

例えば、ジャンボタニシが草を食べてくれるから、除草剤じゃなく自然にあるものを入れているんだからと、ジャンボタニシをわざと投入する人は、自分が有機栽培の範疇へ移っていることに気づきません。窒素過多で稲は倒れます。

 

ジャンボタニシの排泄物の存在を考えず、草を食べてくれるという一つの側面しか見ていないのです。これを真に自然栽培と名乗っていいのか、甚だ疑問です。

 

(この事例は、当会生産者ではなく、当会を真似た個人農家さんで起きた事例で、当会の認証米には混入していないのでご安心ください。このケースが当会で起きた場合、不認証懸案となります )

 

自分で入れたのと、自然界が受け容れたのとでは、まったく結果が違うのです。レンゲも、そのほかのものでも同じです。

 

 

より良い成果を求めるという思考は、辿っていくと、その先にはかつて戦後の食糧難の下、「子どもたちをもう空腹にしてはならない」という願いから受け容れられた、肥料・農薬・除草剤の存在へとつながっています。よかれと思ってすることには、そこに正義が宿っていますから、止めようとする人もいませんし、ブレーキが効きづらいものです。

 

木村さんが『バカになれ』とおっしゃる所以はここにあります。

 

木村さんが少々ズレたことをしている人のことも即NG!と決めつけないのは、肥料・農薬・除草剤を撒かないという第一歩があるだけで、地球をひとまず守ることに繋がり、

 

自然栽培を続けていくうちに、自然栽培農家として真の意味で目覚めてくれる人が一人でも多く生まれる可能性があるのだから… そんなお気持ちがあるのだと思います。(ただ、俯いてとても悲しそうなお顔をされます)

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科学やテクノロジーは、誰が、いつ、どこでやっても同じ結果になるよう、再現性が求められます。

 

少子高齢化が進む我が国では、AIやロボット技術が大変な勢いで進んでいます。人間がいなくても誰でも同じものが作れるように。

 

でもそれは、画一的になっていくということ。 

 

画一化された数字…例えばお金や時間という価値観のみで動かそうとしている今の社会システムでは、ブレーキが機能しなくなり、自らどんどん首を絞めていくようになります。脆弱になった社会では、人は生き残りをかけて、奪い合いや搾取、押し付け合いを始めます。

 

宅配業者や郵便局の配送機能の崩壊、時間外労働による過労死、企業の粉飾決済やデータ偽装、格差社会、やってもやっても追いつかない、よくならない …すでに皆さんの身近で具体的な現象として起きていませんか?

 

皆さんのご主人が、奥さんが、息子や娘が、孫が、

その渦中にいたとしたら…?

 

 

今、社会システム自体が劣化し、限界が来ています。私たちにブーメランとして返ってきているのです。

 

本来、人を幸せにするために開発されたはずの社会システムが、人を苦しませている。私たちは、そこから脱し、(放棄ではなく)、再構築し、再配置しなくてはなりません。

 

人間は、一人で生きていくことなどできません。

 

過不足なくゆずり合い助け合うことで、すでに何万年も持続可能な営みを可能にしてきた自然界。私たちはこの自然界の摂理に学び、もっと有機的で健全な社会を取り戻す必要があります。

 

木村さんが見据える「自然栽培」とは、農業のもっとずっと向こうを見ています。

 

来年はどんな年になるでしょうか。明るい一年にしていきたいですね。

今年もたくさんのご支援、応援をいただき本当にありがとうございました。

どうぞ皆様、佳いお年をお迎えください。