小雪ちらつく寒い中、皆様にお集まりいただき、平成29年度の成果報告会が無事終了しました。
▼当日の様子を、1月30日付の山陽新聞でも紹介していただきました(^_^)/
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お二人の先生には、当会設立当初から応援していただき、岡山県の農業に自然栽培も加えよう…!と、励ましてくださっています。党派を超えて応援してくださる先生方。いつもありがとうございます。

会の前半は体験報告。女性生産者さんは、農業機械を上手に使えば、女性にでも自然栽培はできますよ!と力強いメッセージ。

すっかり常連となった、県立興陽高校の生徒の皆さんの発表では、おや?今年はちょっと取組みの傾向を変えたのかな?と思われる報告が。
◎草が生えて収量が悪かった
◎ジャンボタニシで対策したが失敗した
⇒作業効率が悪く、人件費に換算したときに本当に自然栽培で儲かるのか?
そんな懸念が率直に吐露されました。
会場のお客様からも終了後、「あんたらは結局、“遊び”でしとるんか?」「年金や兼業の片手間で終わっているのではないか?」と、ちょっと過激な雰囲気で詰め寄ってこられる場面もありました(ちょっと怖かったっす ^^;…平和にまいりましょう~)
このことについては、会終了後も会場のあちこちで侃々諤々、皆さんが残ってお話されていて、いつもとは少し違った様相の会場。それだけ、皆さんの中に思うものがたくさんあったのでしょう。
その中で、当会がお伝えしたい本質を捉えていらっしゃるご意見もありました。
「草が生えたのも、ジャンボタニシに失敗したのも、そのように自分でしているから。もっと自然を観察し、事前に手立てをとらないといけない。まだ自然栽培の途中だと思う」
「儲かるようにするのも、儲からないようにするのも、自分次第。儲かるかどうかは、後からついてくるもの。私らは、ちゃんとしたものをシンプルに作りさえすればいい」
当NPOに設立時から参加して7年~8年になる、反収9俵を出している方、食味と収量とのバランスを考えてコントロールして栽培している方、自然栽培を専業でやっていらっしゃる方・・取組みの中で泥臭く実践してこられた方々のご意見です。
自然栽培は「自然と寄り添う農業」とよくいわれますが、“自然と寄り添う” とは、一体どういうことなのでしょうか。今一度、よくかみ砕いて考えてみませんか。
「食べる人のために美味しいものを作ろう」
農家の皆さんはおそらく、このように思う方がほとんどだと思います。でも、自然栽培は、そこからもう一つ踏み込んで、
「『作物が人間のために美味しいものを実らせてやろう』と思ってくれるように」
そう思って作っていただきたい。主語は人間ではないのです。ここが抜け落ちている自然栽培農家さん、実はとても多いようにお見受けします。
このように考えられているならば、作物が気持ちよく育つにはどうしたらいいか、自ずと考え、手足が動くと思います。
草は早めに対処してやりたい、根が伸びやすくなるよう土を良くしてやりたい、病気にならないよう風通しをよくしてやりたい、だけど、これ以上はやり過ぎで迷惑だろうな、余分なものを施すとびっくりするだろうな、…そんなふうに、 “匙加減” がわかってくるのではないでしょうか。
子育てと同じですね!子育てが面倒臭いからといって、ほかの誰かや機械に任せっぱなしにして楽をしようとすれば、子どもは一体、どうなるでしょう?お分かりですよね。
大切にされた田んぼの稲は本当に気持ちよさそうにしていて、周りに生きものもたくさん集まっています。
そうした意味でも、今回人気だったのは、岡山県自然保護センターの阪田睦子さんによる、生きもの調査の結果報告でした。県北/県南、年数の多い/少ない、自然栽培/慣行栽培…それぞれ条件設定した上で、どのような違いがあったかをダイジェストでお送りしました。予測どおり、自然栽培の田んぼには豊かな生態系が作られていることがわかりました。
阪田さんは、自然栽培のお米のことを、
「生きものたちがつくるお米」
と表現されていました。作物と作物の周りに集まっている生きものたちが連携している。私たち人間はそのお手伝いをしているに過ぎない。木村さんが日頃から「私はりんごの樹のお手伝い係です」とおっしゃっていることと通じていますよね!
もしも、“わしの米”“俺たちの米”という言葉がポロっとついて出てくるようでしたら、それは本当に、“自分のもの”か?と自問してみてください。どこかで慢心していませんか?作物は自然界からの恵みだということを忘れていませんか?
生きもの調査の結果については、また新たなページを作ってご報告いたしますね。
ほかにも、発芽玄米の効能と自然栽培米の好相性についてのミニ講演もありました。

後半は、NPO法人大阪府木村式自然栽培実行委員会さんからの報告。夢のディナーの様子や自然栽培の食材を求める声が大阪で多いことなどが報告されました。
また、絶大な支持をしてくださっている、学校法人 清風学園の平岡副校長先生からも、現代の子どもたちの現状をふまえ、もっともっと健全な食の確立が必要とのメッセージ。
自然栽培が木村秋則さんにだけ頼った一過性のブームになることなく、社会に当たり前に浸透する大切な理念を持っていることが、少しずつ理解されてきています。このことは、木村さんご自身も願っていることなんです。

今回、初めての企画もありました。ずっとやりたかった企画、「生産者表彰」です。
当会は設立して8年が経過し、今年度は9年目に入ります。そこで、現時点で最長年数で取り組んでくださってきた皆さんに、感謝状と記念品をお贈りしました。
皆さん、「百姓をしてきてこんなことしてもらったの、初めてじゃ(^^)」と、とても嬉しそう。
記念品は、皆さんが丹精されたお米で作らせてもらっている、お酒やお味噌、甘酒をセットにしてご用意しました。
生産者の皆さんは、この取組みを「仕事」として取り組んでおられるからか、お米を出したら次の人に任せて、そのあとのことはタッチしない‥っていうケースが少なからずあります。なので、意外にも自分で作ったお米なのにお酒やお味噌を試してみたことがない、っていう方が結構いらっしゃるんです。
「あの米が、こんなにすごい商品になっとるんじゃな!」「今日は安酒にせんで、この酒と味噌で美味しい飯をいただくわ」「甘酒はお母ちゃんにプレゼントじゃな^^ 」と大変喜んでくださいました。
これからもこの生産者表彰は継続していきたいと思います(^^)
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今回の成果報告会は、私たちNPOの力不足を痛感し、また一つ、学びとなる機会をいただきました。
いよいよ平成30年度の生産がスタートします。今年度は、生産者数110戸、5100俵(306 t )の生産を目指します!
収量だけでなく、食味も考えたバランスのよいお米づくり、生きものにやさしいお米づくり、地球を守るお米づくり、今年もがんばりますので、応援どうぞよろしくお願いいたします(^_^)/